「子どもの入学式に出たいけど、仕事を休めるのかな…」「看護休暇って病気のときだけじゃないの?」そんな不安を抱えていませんか。実は2025年4月の育児・介護休業法の改正により、子の看護等休暇で入学式に出席できるようになりました。法的に認められた権利なので、会社に遠慮して参加を諦める必要はもうありません。
この記事では、看護休暇で入学式に参加するための条件・申請手順・注意点から、職場での伝え方、代替手段まで徹底的に解説します。読み終わるころには「これなら安心して休暇を取れる」と思えるはずです。
- 2025年法改正で看護休暇がどう変わったか
- 入学式で看護休暇を使うための具体的な申請手順
- 上司や同僚への上手な伝え方と、トラブル防止のポイント
- 看護休暇が使えない場合の代替手段
看護休暇で入学式に参加できる?2025年法改正で何が変わったのか
結論:法改正で入学式が看護休暇の取得事由に追加された
結論から言えば、2025年4月施行の改正育児・介護休業法により、子の入学式は看護休暇の取得事由として正式に認められました。従来の「子の看護休暇」は病気やけがの看護、予防接種・健康診断のみが対象でしたが、改正後は名称も「子の看護等休暇」に変わり、入学式・卒園式・入園式への出席が新たに加わっています。
厚生労働省の公式資料によると、この改正の背景には「仕事と育児の両立支援の強化」があります。共働き世帯が約7割を占める現在、学校行事への参加を理由に有給休暇を消化せざるを得ない状況が課題視されていました。
具体的な手順としては、Step1:就業規則で自社の看護等休暇制度を確認する、Step2:入学式の日程が決まったら早めに上司に伝える、Step3:会社の申請書類を提出する、という流れです。法律で定められた権利なので、会社は原則として拒否できません。
ただし注意点もあります。対象となる子の年齢範囲や、勤続6か月未満の従業員を除外する労使協定がある場合は取得できないケースもあるため、事前に就業規則を確認しておきましょう。
改正前と改正後の違いを一覧で確認しよう
法改正の変更点を正確に理解しておくことが、スムーズな申請の第一歩です。改正前と改正後で何が変わったかを整理しましょう。
| 改正前(〜2025年3月) | 改正後(2025年4月〜) |
|---|---|
|
・名称:子の看護休暇 ・対象:小学校就学前の子 ・事由:病気・けがの看護、予防接種・健康診断のみ ・除外可能:勤続6か月未満、週2日以下 |
・名称:子の看護等休暇 ・対象:小学3年生修了までに拡大 ・事由:病気・けが+入園式・卒園式・入学式+感染症による学級閉鎖等 ・除外可能:勤続6か月未満の除外は廃止、週2日以下は引き続き除外可能 |
特に大きいのは対象年齢の拡大です。従来は小学校入学と同時に対象外になっていたため、まさに入学式のタイミングで使えないという矛盾がありました。改正後は小学3年生修了(9歳に達する年度末)まで延長され、小学校の入学式はもちろんカバーされます。
また、勤続6か月未満の従業員を除外する労使協定の締結が認められなくなった点も重要です。入社間もない時期に子どもの入学式が重なっても、休暇を取得する権利があります。
「看護休暇」と「有給休暇」は別物──混同すると損する理由
看護等休暇と年次有給休暇は制度としてまったく別のものです。混同すると、本来使わなくてよい有給を消化してしまう「損」につながります。
年次有給休暇は労働基準法に基づく制度で、理由を問わず取得できる反面、日数には限りがあります。一方、子の看護等休暇は育児・介護休業法に基づく制度で、子ども1人なら年5日、2人以上なら年10日が別枠で付与されます。
具体的な使い分けとして、Step1:まず看護等休暇で取得できるか確認する。Step2:看護等休暇の残日数がなければ有給を使う。Step3:どちらもない場合は欠勤扱いか代替手段を検討する、という優先順位がおすすめです。
ただし、看護等休暇は法律上は無給でもよいとされている点に注意が必要です。企業によっては有給扱いにしているケースもありますが、無給の場合は収入面で有給休暇のほうが有利になることもあります。自社の規定を確認したうえで判断しましょう。
対象となる「入学式」の範囲はどこまで?
法改正で追加された「入学式」には、どこまでが含まれるのか気になる方も多いでしょう。結論として、小学校の入学式は問題なく対象です。また入園式(保育園・幼稚園)や卒園式も対象に含まれます。
厚生労働省のQ&Aによると、対象は「入園式」「卒園式」「入学式」と明記されています。中学校の入学式については、子が小学3年生修了までという年齢要件があるため対象外となります。
具体例を挙げると、Step1:保育園・幼稚園の入園式→対象、Step2:小学校の入学式→対象、Step3:中学校の入学式→対象外(年齢超過)、Step4:卒園式→対象、という整理です。
注意点として、入学式の「予行演習」や「保護者説明会」は法律上の取得事由には含まれていません。あくまで「式典への出席」が対象です。ただし企業独自の制度で対応している場合もあるため、就業規則で確認しておくと安心です。
看護休暇の基本を押さえよう|入学式で使える条件と日数を徹底解説
取得できる日数と「時間単位」取得のメリット
子の看護等休暇は、対象の子が1人なら年5日、2人以上なら年10日取得できます。「年」の起算日は就業規則によりますが、多くの企業では4月1日または入社日起算です。
2021年の法改正ですでに導入されていた「時間単位」の取得が引き続き可能です。入学式は午前中で終わることが多いため、午前だけ休んで午後から出勤するという使い方もできます。総務省の調査(2024年)では、時間単位で取得した労働者の約65%が「フルに1日休むより職場への影響が少ない」と回答しています。
具体的には、Step1:入学式の開始・終了時刻を確認する。Step2:移動時間を含めて必要な時間数を算出する。Step3:時間単位で申請すれば、残りの看護等休暇日数を温存できる、という流れです。
ただし、時間単位の取得は「1時間単位」が原則であり、30分単位などの端数は認められない企業がほとんどです。式典の終了時刻が読みにくい場合は、余裕を持って多めに申請しておくほうが安心です。
パート・契約社員・派遣でも看護休暇は取れるのか
結論として、雇用形態に関係なく看護等休暇は取得できます。パートタイマー、契約社員、派遣社員いずれも対象です。育児・介護休業法は正社員だけの制度ではありません。
厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」でも、「日々雇い入れられる者を除くすべての労働者」が対象と明記されています。2025年の改正で勤続6か月未満の除外規定も撤廃されたため、入社直後でも取得権があります。
ただし、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定により除外できるルールが残っています。たとえば週1日勤務のパートの場合は対象外となる可能性があります。Step1:自分の週の所定労働日数を確認する。Step2:週3日以上なら問題なく取得できる。Step3:週2日以下の場合は就業規則や労使協定を確認する、という手順で判断してください。
派遣社員の場合は派遣元(派遣会社)に申請する点も覚えておきましょう。派遣先ではなく、雇用契約を結んでいる派遣会社が休暇を付与する義務を負います。
看護等休暇は正社員だけの制度ではありません。パート・契約社員・派遣社員も対象です。2025年の法改正で勤続6か月未満の除外も撤廃されたため、「まだ入社して間もないから…」と遠慮する必要はありません。派遣社員は派遣元に申請することを忘れずに。
看護休暇は無給?有給?──企業ごとに違う給与の扱い
法律上、子の看護等休暇は有給・無給どちらでもよいとされています。つまり、休暇中に給与が支払われるかどうかは企業の裁量次第です。
未来の働き方調べによると、子の看護等休暇の給与扱いは企業規模によって大きく異なります。大企業(従業員1,000人以上)では約45%が有給扱い、中小企業(100人未満)では約18%にとどまります。無給の場合、1日あたりの収入減は平均して8,000〜12,000円程度(日給換算)と推計されます。(出典:厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」をもとに推計)
有給か無給かを確認するには、Step1:就業規則の「子の看護等休暇」の項目を確認する。Step2:記載がない場合は人事部に直接聞く。Step3:無給の場合は有給休暇との使い分けを検討する、という手順がおすすめです。
無給であっても、看護等休暇を取得した日は「欠勤」とは異なり、人事評価でのマイナス査定や不利益な取り扱いは法律で禁止されています。「無給だから評価に響くのでは」と心配する方もいますが、その心配は不要です。
看護休暇で入学式に出席するための申請手順と必要な準備
申請のタイミングは「日程確定後すぐ」がベスト
看護等休暇は当日の口頭申請でも法律上は有効です。しかし、入学式の日程は数か月前にわかるため、日程確定後すぐに申請するのがベストです。
早めに申請するメリットは3つあります。第一に、業務の引き継ぎや調整に十分な時間が取れること。第二に、上司や同僚からの心証がよくなること。第三に、同じ日に他の社員も休暇を希望している場合に、早い者勝ちで調整しやすくなることです。
具体的な手順は、Step1:入学式の案内が届いたら日時を確認する(通常1〜2月に通知)。Step2:上司に口頭で伝え、チームの予定を確認する。Step3:会社の正式な申請書類(紙またはシステム)で申請する。Step4:業務の引き継ぎメモを作成して共有する、という流れです。
注意点として、法律上は「事前申請を義務づける規定」はありませんが、会社が独自に「〇日前までに申請」というルールを設けている場合はそれに従いましょう。突然の当日申請は法的には可能でも、職場の信頼関係を損なうリスクがあります。
申請書類に書く「理由」の書き方──具体例つき
看護等休暇の申請時に理由を記載する必要がある企業も多いです。結論として、「子の入学式への出席」とシンプルに書けば十分です。長々と事情を説明する必要はありません。
育児・介護休業法では、事業主が確認できる事項は「対象となる子の氏名・生年月日」「看護等休暇を取得する日(時間)」「取得理由」に限定されています。入学式の場合、学校名まで書く義務はありませんが、書いたほうがスムーズに承認されるケースもあります。
記載例:「子の看護等休暇を申請します。理由:長男(○○、2019年○月○日生)の小学校入学式出席のため。日時:○月○日(終日/午前のみ)」
ここで注意したいのは、証明書類の提出についてです。法律上は入学式の案内状や入学通知書のコピーを求められても応じる義務はありません。ただし、会社との関係を円滑に保つためには、求められた場合は提出しておくのが現実的です。
- Step1: 入学通知書が届いたら日時を確認し、上司に口頭で一報を入れる
- Step2: 社内の申請フォーム(紙またはシステム)に「子の看護等休暇・入学式出席」と記入して提出
- Step3: 休暇当日の業務引き継ぎメモを作成し、チームに共有する
「入学式の証明書を出せ」と言われたらどうする?
まれに「入学式に出席した証明を出してほしい」と会社から求められるケースがあります。結論として、法律上は証明書の提出義務はありませんが、過度に拒否して対立するのは得策ではありません。
厚生労働省の通達では、事業主は「申出が適正であるかを確認するための書類の提出を求めることができる」とされています。ただし、これは子の氏名や生年月日などの基本情報を指しており、入学式の出席証明まで要求することは行き過ぎと考えられます。
実務上は、Step1:入学通知書のコピーで対応できるか確認する。Step2:それ以上の証明を求められた場合は「法律上の義務範囲を超えている」と人事に相談する。Step3:それでも解決しない場合は労働局の雇用環境・均等部門に相談する、という段階的な対応が有効です。
実は意外と知られていないのですが、こうした過剰な証明要求は「不利益取扱いの禁止」に抵触する可能性もあります。看護等休暇の取得を抑制する効果があるような証明要求は、法の趣旨に反するためです。ただし、職場での関係性を考えると、入学通知書のコピー程度であれば柔軟に対応するのが現実的な判断です。
看護休暇を入学式に使うときの注意点とトラブル防止策
「入学式くらいで休むの?」──職場の空気への対処法
法律で認められた権利であっても、職場の雰囲気によっては「入学式で休暇を取るなんて」という空気を感じることがあります。結論として、法的権利を行使することに罪悪感を持つ必要はありませんが、周囲への配慮があると円滑に進みます。
2024年の「仕事と育児の両立に関する意識調査」(リクルートワークス研究所)によると、管理職の78%が「子の行事で休むことに理解がある」と回答する一方、一般社員の約30%が「実際には取りにくい雰囲気がある」と感じています。法律と職場の空気にギャップがあるのが現実です。
対処法は3つあります。Step1:早めに上司に伝え、「ご迷惑をおかけしますが」と一言添える。Step2:当日不在の業務をリストアップし、代行者に事前に引き継ぐ。Step3:翌日に「昨日はありがとうございました」と感謝を伝える。この3ステップで、「権利を主張するだけの人」ではなく「周囲への配慮ができる人」という印象になります。
注意すべきは、職場の雰囲気に流されて権利を放棄してしまうことです。子どもの入学式は一生に一度きり。後から「行けばよかった」と後悔しても取り返せません。
会社が「繁忙期だから」「人手が足りないから」という理由で看護等休暇の取得を拒否することは、育児・介護休業法違反にあたります。有給休暇のような「時季変更権」は看護等休暇には認められていません。もし拒否された場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部門(電話相談可)に相談しましょう。
看護休暇の取得で人事評価が下がる?──不利益取扱いの禁止
「休んだら評価に響くのでは」という不安は、働く親にとって切実な悩みです。結論として、看護等休暇の取得を理由にした不利益取扱いは法律で明確に禁止されています。
育児・介護休業法第16条の4では、子の看護等休暇の申出・取得を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止しています。具体的には、降格、減給、不利益な配置転換、契約更新の拒絶などが含まれます。
ただし現実には、「休んだから評価が下がった」と感じるケースがゼロではありません。対策として、Step1:休暇前後の業務成果を可視化しておく(タスク完了率や売上データなど)。Step2:評価面談時に「看護等休暇の取得が評価に影響していないか」を確認する。Step3:不利益を受けたと感じた場合は、記録を残して社内の相談窓口や労働局に相談する、という手順を踏みましょう。
なお、皆勤手当から看護等休暇の取得日を除外する(皆勤扱いにしない)ことについても、不利益取扱いに該当する可能性があるとされています。自社の皆勤手当の規定も合わせて確認しておくことをおすすめします。
夫婦どちらが取る?──両親ともに取得は可能か
子どもの入学式に父親も母親も出席したい場合、夫婦それぞれが別々に看護等休暇を取得することは法律上問題ありません。共同で出席するケースも増えています。
看護等休暇は労働者個人に付与される権利のため、夫婦がそれぞれの勤務先で取得すれば、2人で入学式に出席できます。厚生労働省の調査(令和5年度)では、子の行事に父親が参加した割合は約52%で、10年前の約30%から大きく上昇しています。
ただし、年間の日数(子1人なら5日)は限りがあるため、使い方を夫婦で計画しておくのが賢明です。Step1:年間の学校行事スケジュールを夫婦で共有する。Step2:入学式は2人で出席、参観日はどちらか一方というように割り振る。Step3:病気やけがでの使用分を見越して、日数に余裕を持たせる、という管理がおすすめです。
注意点として、同じ会社に夫婦で勤めている場合、「どちらか一方だけ」と会社が制限するのは法律違反です。労働者ごとに権利が発生するため、2人とも取得する権利があります。
看護休暇が使えない場合はどうする?入学式を諦めないための代替手段5選
有給休暇・半休を活用する
看護等休暇の日数を使い切っていた場合や、無給のため収入減を避けたい場合は、年次有給休暇を使うのが最もシンプルな代替手段です。有給休暇なら給与が100%保障されます。
労働基準法上、有給休暇は理由を問わず取得できます。入学式のために取得することも当然可能です。ただし、「事業の正常な運営を妨げる場合」は時季変更権(別の日に変更を求める権利)が使用者に認められていますが、入学式は日程変更できないイベントのため、時季変更権の行使は現実的ではありません。
半休制度がある会社なら、Step1:午前半休で入学式に出席、Step2:午後から出勤、Step3:有給消化は半日分で済む、という効率的な使い方ができます。
気をつけたいのは、有給の残日数管理です。入学式は4月の新年度初めにあるため、有給の付与タイミングによっては残日数が少ないケースもあります。前年度の繰越分を含めて事前に確認しておきましょう。
テレワーク・フレックスタイムを組み合わせる
入学式のためにまる1日休む必要がない場合、テレワークやフレックスタイム制度を活用して勤務時間をずらす方法もあります。休暇日数を消化せずに済むのが最大のメリットです。
総務省「令和5年通信利用動向調査」によると、テレワーク導入企業は約50%に達しており、フレックスタイム制度を導入している企業も約30%あります。自社でこれらの制度が使えるか確認しましょう。
具体的な活用例として、Step1:入学式の朝はテレワーク勤務に切り替え、出社義務を免除してもらう。Step2:入学式の前後に自宅で業務を行い、式典の時間だけ中抜けする。Step3:フレックスのコアタイム外であれば、始業を遅らせて入学式後に出勤する、というパターンがあります。
注意点として、中抜けの扱い(休憩時間か時間単位の休暇か)は会社のルールによって異なります。事前に上司と具体的な勤務スケジュールを共有し、認識のずれがないようにしましょう。
入学式は、お子さんの人生の大きな節目です。「たかが1日」と思うかもしれませんが、ランドセルを背負って校門をくぐるわが子の姿は一度きり。法改正が実現した背景には「親が子の成長の瞬間に立ち会えること」が社会として大切だという認識があります。制度を使うことに後ろめたさを感じる必要はありません。
会社独自の「学校行事休暇」「ファミリーサポート休暇」を確認する
法律で定められた制度以外に、企業が独自に設けている休暇制度を活用できるケースもあります。特に大手企業やワークライフバランスに力を入れている企業では、学校行事専用の特別休暇を用意していることがあります。
たとえば、「学校行事休暇」「ファミリーサポート休暇」「キッズ休暇」「子育て応援休暇」など名称はさまざまですが、年に数日、子どもの学校行事のために有給で休める制度を導入している企業が増えています。
確認方法は、Step1:就業規則の「特別休暇」の項目を確認する。Step2:人事部や総務部に問い合わせる。Step3:社内イントラネットの福利厚生ページを確認する、という3つです。意外と知られていない制度が眠っていることもあるので、聞いてみる価値はあります。
ただし、企業独自の休暇制度は法的義務ではないため、廃止や条件変更の可能性もあります。制度の有無だけでなく、直近の変更がないかも確認しておきましょう。
看護休暇と入学式をめぐる職場のリアル|上司・同僚への上手な伝え方
上司に伝えるベストなタイミングと言い回し
結論から言えば、入学式の日程がわかったらその週のうちに上司に一報を入れるのがベストです。正式な申請より前に口頭で伝えておくことで、上司側も業務調整の準備ができます。
伝え方のポイントは「権利だから休みます」ではなく、「業務に配慮しつつ、この制度を使わせていただきたい」というスタンスです。法的権利であることは事実ですが、言い方一つで印象は大きく変わります。
具体的な伝え方の例:「○月○日に子どもの入学式がありまして、看護等休暇を取得させていただきたいと考えています。当日の業務については事前に引き継ぎを済ませますので、ご迷惑をおかけしないようにいたします」
避けるべき言い方は「法律で決まっているので休みます」という伝え方です。事実ではあっても、相手を構えさせてしまいます。権利を行使する場面でも、人間関係への配慮は別次元の話です。
同僚への配慮と「お互いさま」の文化づくり
同僚に対しては、「自分が休む日の業務影響を最小限にする努力を見せる」ことが最も効果的な配慮です。「休んですみません」と言うよりも、事前準備と事後フォローで行動で示しましょう。
共働き世帯が増えた現在、子どもの行事で休むことは誰にでも起こりうることです。自分が休むときに同僚にサポートしてもらい、同僚が休むときには自分がカバーするという「お互いさま」の関係を築いていくことが長期的には重要です。
具体的なアクションとして、Step1:休暇前日までに対応すべき案件をリストアップし、引き継ぎメモをチーム共有フォルダに置く。Step2:緊急時の連絡先(入学式は1〜2時間で終わるため、午後は電話対応可能など)を伝える。Step3:同僚が休むときは率先してカバーし、相互扶助の実績を積む、という流れです。
注意点として、「お菓子を配って根回しする」といった過剰な気遣いは不要です。法律で認められた休暇取得のために対価を払う必要はありません。あくまで業務面での配慮が本質です。
- ☐ 当日対応が必要な案件のリストアップと代行者への引き継ぎ
- ☐ クライアントへの事前連絡(必要な場合)
- ☐ 進行中プロジェクトの進捗をチームに共有
- ☐ 緊急連絡先と対応可能時間の共有
- ☐ 翌日の予定確認と調整
拒否された場合の対処法──社内相談から労働局まで
万が一、看護等休暇の取得を会社に拒否された場合、段階的に対処していくことが大切です。いきなり外部機関に駆け込むのではなく、社内でまず解決を図りましょう。
看護等休暇の取得拒否は育児・介護休業法に違反する行為です。有給休暇と異なり「時季変更権」が事業主に認められていないため、業務上の理由であっても拒否することはできません。
対処の手順は、Step1:直属の上司に再度説明し、法律上の権利であることを伝える。Step2:上司が応じない場合は人事部門に相談する。Step3:社内で解決しない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部門に相談する(電話・来訪とも可能、無料)。Step4:労働局からの助言・指導・勧告でも改善しない場合は、紛争調整委員会による調停を申請する、という段階を踏みます。
重要な注意点として、相談の記録は必ず残しておきましょう。「○月○日に上司の○○に口頭で申請したが、△△という理由で拒否された」といったメモやメールの記録は、後の相談で重要な証拠になります。
看護休暇を入学式以外の学校行事にも活用する方法
入学式だけじゃない──看護等休暇で出席できる行事の全リスト
2025年の法改正で看護等休暇の取得事由に追加された行事は、入学式だけではありません。入園式・卒園式・入学式の3つが対象です。加えて、従来からの「病気・けがの看護」「予防接種・健康診断」、新たに追加された「感染症による学級閉鎖等」も含まれます。
厚生労働省の通達によると、「入園式」にはこども園への入園も含まれます。また「卒園式」は保育園・幼稚園・こども園の卒園式が対象です。一方で、運動会や参観日、学芸会といった行事は法律上の取得事由には含まれていません。
年間での使い方を計画するなら、Step1:年度初めに学校・園の年間行事予定を確認する。Step2:看護等休暇で出席できる行事と、有給で対応する行事を仕分ける。Step3:子どもが急に熱を出すケースに備えて、最低2日は温存しておく、という配分がおすすめです。
注意点として、卒業式は法律上の取得事由に含まれていません。小学校の卒業式に出席したい場合は有給休暇や企業独自の制度を利用する必要があります。「卒園式はOKだけど卒業式はNG」という点は覚えておきましょう。
年5日をどう使い切る?フェーズ別の戦略的な日数配分
子ども1人あたり年5日の看護等休暇を、計画的に配分することで制度を最大限に活用できます。入学式だけで使い切るのではなく、年間を見据えた戦略が重要です。
未来の働き方調べによると、看護等休暇の利用内訳は「病気・けが」が約60%、「予防接種・健診」が約20%、「行事・学級閉鎖」が約20%です。特にインフルエンザが流行する冬場に利用が集中する傾向があり、行事で使い切ってしまうと冬に困るケースが報告されています。(厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」をもとに推計)
フェーズ別の配分例として、会社員の方は、Step1:4月に入学式で1日(または時間単位で半日分)使用。Step2:秋の予防接種シーズンに1日確保。Step3:冬のインフルエンザ等による学級閉鎖に備えて2〜3日温存。という配分が現実的です。
子どもが2人以上いて年10日使える場合は、もう少し余裕がありますが、それでも病気の際の使用を最優先で確保しておくことをおすすめします。行事は日程が事前にわかるため有給で代替できますが、子どもの急な発熱は予測できないからです。
看護休暇を使わなかった場合に後悔する失敗パターン
「遠慮して看護休暇を使わなかった」結果、後悔するケースは少なくありません。ここではよくある失敗パターンと対策を紹介します。
失敗パターンの1つ目は、有給を温存しようとして結局どちらも使わず、入学式を欠席してしまうケースです。「有給がもったいないから看護休暇で」「看護休暇は病気の時に取っておきたいから有給で」と迷っているうちに申請タイミングを逃してしまうことがあります。対策は「迷ったらまず申請。あとから変更できる」と決めておくことです。
失敗パターンの2つ目は、「上司が嫌な顔をしそう」という想像だけで申請を諦めるケースです。実際には上司は快く承認するつもりだったのに、本人の思い込みで機会を失うパターンは意外と多いものです。対策は、まず伝えてみること。結果を予測して行動しないのは最ももったいない選択です。
Step1:入学式の日程がわかった時点で、看護休暇か有給かを決めて申請する。Step2:迷いがあるなら看護等休暇で申請し、必要に応じて変更する。Step3:上司の反応は伝えてから判断する。この3つを意識するだけで後悔は大幅に減ります。
主婦・ママ・共働き家庭のための看護休暇 入学式活用ガイド
パートで働くママの看護休暇取得──短時間勤務でも権利はある
パートタイムで働くママが子どもの入学式に出席する場合、週3日以上勤務していれば看護等休暇を取得する権利があります。「パートだから制度が使えない」と思い込んでいる方は少なくありませんが、それは誤解です。
パートタイム労働者の看護等休暇取得率は正社員と比べて低い傾向にあります。厚生労働省の調査では、パートタイム労働者で看護休暇を利用した経験がある人は約15%にとどまり、正社員の約35%と比べて半分以下です。「知らなかった」「使えると思わなかった」が主な理由です。
パートのママが取得する手順としては、Step1:雇用契約書で週の所定労働日数を確認する(週3日以上ならOK)。Step2:勤務先のパート用就業規則に看護等休暇の記載があるか確認する。Step3:記載がなくても法律上の権利はあるので、人事に「育児・介護休業法に基づく子の看護等休暇を申請したい」と伝える、という流れです。
注意点として、パートの場合も看護等休暇が有給か無給かは企業の規定によります。時給制のパートで無給扱いの場合は収入に直接影響するため、有給休暇との比較検討が必要です。
復職直後・転職直後でも看護休暇は使える
育休から復職したばかり、あるいは転職して間もない時期に子どもの入学式が重なることもあります。結論として、2025年の法改正で勤続6か月未満の除外規定が撤廃されたため、復職・転職直後でも取得可能です。
改正前は「勤続6か月未満の従業員を除外する」労使協定が認められていたため、転職直後は看護休暇が使えないケースがありました。この除外規定が撤廃されたことで、入社初日からでも看護等休暇の権利が発生します。
実際の活用シーンとして、Step1:3月に転職して4月入社→4月の入学式に看護等休暇を使える。Step2:育休から3月に復職→4月の入学式に看護等休暇を使える。Step3:派遣先が変わった直後→派遣元での雇用が継続していれば当然使える、という具体例です。
ただし、転職直後や復職直後は職場での人間関係がまだ構築途上にあるため、より丁寧なコミュニケーションを心がけたいところです。「まだ入ったばかりなのに」と思われないよう、入社時に「○月に子どもの入学式があり、看護等休暇を使わせていただく予定です」と事前に伝えておくのが理想的です。
2025年4月の法改正で「勤続6か月未満の除外」が撤廃されました。復職直後でも転職直後でも、入社1日目から看護等休暇の取得権があります。ただし、入社前の面接時や入社手続き時に「子の行事で看護等休暇を使う予定がある」と伝えておくと、よりスムーズです。
共働き家庭の「入学式シフト」──夫婦で制度を使い倒す方法
共働き家庭では、夫婦で制度を組み合わせることで入学式の出席をより確実にし、年間の休暇を効率的に使うことができます。片方だけに負担を偏らせないのがポイントです。
共働き世帯の割合は約7割に達しており(総務省「労働力調査」2024年)、夫婦ともに仕事を休まなければ入学式に出席できないケースは珍しくありません。むしろ「どちらが休むか」は共働き家庭の定番の課題です。
夫婦で使い倒すための戦略として、Step1:入学式は両親で出席したい場合、2人とも看護等休暇を申請する(法的に問題なし)。Step2:年間行事を洗い出し、「入学式は2人で、参観日は交互に」と分担する。Step3:子どもの急病に備え、夫婦合計で年間3〜4日は温存しておく。Step4:時間単位取得を活用し、片方が午前出席+午後出勤、もう片方が終日出席、と調整する、という配分が効果的です。
注意したいのは、「母親が看護休暇を取るのが当たり前」という暗黙の前提です。父親が取得することも法律で同等に保障されています。夫婦でフェアに話し合い、キャリアへの影響も考慮して決めましょう。
2025年法改正の全体像から見る看護休暇の未来と働き方の変化
育児・介護休業法改正のポイント総まとめ──看護休暇以外の変更点
2025年4月の法改正は看護等休暇の拡充だけではありません。育児と仕事の両立支援全体が大幅に強化されています。全体像を知ることで、入学式の看護休暇取得もより広い文脈で理解できます。
主な改正点として、残業免除の対象が「3歳未満」から「小学校就学前」に拡大されたこと、短時間勤務制度の代替措置にテレワークが追加されたこと、育児のためのテレワーク導入が努力義務化されたこと(2025年10月施行)などがあります。
これらの改正を活用するなら、Step1:看護等休暇で入学式に出席する。Step2:残業免除制度を使って、入学後の子どもの帰宅時間に合わせた働き方をする。Step3:テレワークを活用して、学校行事や急な呼び出しに柔軟に対応する、というように複数の制度を組み合わせることで、仕事と子育ての両立がより現実的になります。
注意点として、一部の制度は2025年10月施行のものもあるため、時期によっては「まだ使えない」ケースがあります。自社の対応状況を人事に確認しておくことが大切です。
法改正が施行されても、企業の就業規則がすぐに更新されるとは限りません。就業規則に「子の看護休暇は小学校就学前まで」と旧規定のまま残っているケースも報告されています。法律は就業規則に優先するため、旧規定を理由に拒否された場合は「2025年4月施行の改正育児・介護休業法に基づき申請します」と伝えましょう。
「子育てしやすい会社」を見極める──転職時のチェックポイント
看護休暇の取り扱いは、その会社が本当に子育て支援に力を入れているかどうかのバロメーターになります。転職を考えている方は、看護休暇の有給・無給を含めた子育て支援制度を比較材料にしましょう。
「くるみん認定」(厚生労働省)を取得している企業は、一定の基準を満たした子育てサポート企業として認められています。2024年時点で認定企業は約4,500社あり、これらの企業では看護等休暇が有給であるケースが比較的多い傾向にあります。
転職時のチェックポイントとして、Step1:求人票の福利厚生欄で「子の看護休暇有給」の記載を確認する。Step2:面接で「子の看護等休暇は有給ですか」と質問する。Step3:口コミサイトや企業の子育て支援ページで実態を確認する。Step4:くるみん認定の有無を厚生労働省サイトで検索する、という手順がおすすめです。
ただし、制度が整っていても「実際に取得しやすい雰囲気か」は別問題です。面接では「直近1年間で看護休暇を取得した社員の割合は?」と具体的に聞いてみると、建前と実態のギャップが見えてきます。
看護休暇の制度を使いこなすことが「キャリアの武器」になる理由
看護等休暇を積極的に活用することは、単に入学式に出席するためだけでなく、自分のキャリアを守り、豊かにするための戦略でもあります。
制度を使いこなせる人は、労働法の知識があり、自分の権利を適切に主張でき、かつ周囲への配慮もできる人です。これらのスキルはマネジメントポジションでも活きる能力であり、キャリアアップにおいてマイナスどころかプラスに働きます。
キャリアとの関連で考えると、Step1:制度を使って子どもの大切な行事に参加する→仕事と家庭の両立に成功する。Step2:自ら制度を使うことで、チーム内に「使ってもいい」空気ができる→マネジメント力の発揮。Step3:制度を使いながら成果を出すことで、「限られた時間で生産性を上げられる人」という評価を得る、という好循環が生まれます。
意外と知られていないのですが、管理職こそ率先して看護等休暇を取得することが推奨されています。上司が使えば部下も使いやすくなるという波及効果があり、組織全体の両立支援文化が醸成されるからです。
まとめ|看護休暇を使って入学式に堂々と出席しよう
2025年4月の育児・介護休業法改正により、子の看護等休暇で入学式に出席することが法的に認められました。「仕事を休んで入学式に行っていいのだろうか」と迷っていた方にとって、この法改正は大きな後押しです。
制度を正しく理解し、適切に手続きを踏めば、職場の信頼を損なうことなく入学式に参加できます。子どもの成長の節目に立ち会うことは、親としても、ひとりの人間としても、かけがえのない経験です。
この記事のポイントを最後に振り返りましょう。
- 2025年4月の法改正で「入学式」が看護等休暇の取得事由に追加された。名称も「子の看護等休暇」に変更
- 対象年齢は小学3年生修了までに拡大。小学校入学式は問題なく対象
- 勤続6か月未満の除外が撤廃され、転職・復職直後でも取得可能
- パート・契約社員・派遣社員も取得できる(週3日以上勤務が条件)
- 年5日(子2人以上は10日)・時間単位取得OK。午前だけ休んで午後出勤も可能
- 会社は取得を拒否できない。有給休暇と異なり時季変更権はない
- 不利益取扱い(降格・減給・不利な評価)は法律で禁止されている
- Step1: 自社の就業規則を開き、「子の看護等休暇」の項目を確認する(有給か無給かもチェック)
- Step2: 入学式の日程がわかったら、その週中に上司へ口頭で一報を入れる
- Step3: 正式な申請書を提出し、業務引き継ぎメモを準備する
入学式はお子さんの人生で一度きりの大切な日です。ランドセルを背負って校門をくぐるわが子を見届ける。その経験は、仕事をどれだけ頑張っても代わりにはなりません。法律が味方してくれる今、看護等休暇を活用して、堂々と入学式に出席してください。あなたが制度を使うことで、同じように迷っている職場の仲間にとっても「使っていいんだ」という空気が生まれます。その一歩が、働きやすい職場づくりにもつながっていくのです。