夫婦で育休を取るなら知っておくべき注意点7選|給付金・家計・職場対応の落とし穴

「夫婦で育休を取りたいけれど、何に気をつければいいのかわからない」――そんなモヤモヤを抱えていませんか。2025年4月から育児休業給付金の実質手取り10割が実現し、夫婦で育休を取る家庭は年々増えています。しかし、制度を正しく理解していないと「給付金が想定より少なかった」「職場で気まずくなった」「家計が回らなくなった」といった後悔につながるケースも少なくありません。この記事では、夫婦で育休を取る際に押さえておきたい注意点を、給付金制度・取得タイミング・職場対応・家計管理・復帰後のキャリアまで網羅的に解説します。読み終えるころには「二人で育休を取ってよかった」と言える準備が整うはずです。

目次

夫婦で育休を取る注意点とは?制度の全体像を5分で把握

育児休業制度は「夫婦同時取得」が前提になっている

結論から言えば、育児休業は夫婦が同時に取得することが法律上まったく問題ありません。育児・介護休業法では、性別にかかわらず労働者が子どもの1歳の誕生日前日まで育休を取得できると定めています。かつては「母親が育休中なら父親は取れない」という誤解がありましたが、2010年の法改正で完全に撤廃されました。

厚生労働省の「雇用均等基本調査(令和6年度)」によると、男性の育休取得率は46.2%に達し、前年度の30.1%から大幅に伸びています。取得率が上がった背景には、2022年の産後パパ育休の創設と、2025年の給付金引き上げがあります。

具体的な制度の流れとしては、まずStep1として母親の産前産後休業(出産予定日の6週間前〜産後8週間)があり、Step2として父親は子の出生後8週間以内に産後パパ育休(最大4週間)を取得でき、Step3として夫婦それぞれが子どもの1歳の誕生日まで育児休業を取得できます。保育園に入れない場合は最長2歳まで延長が可能です。

ただし注意すべきは、制度を「知っている」ことと「正しく使える」ことは別だという点です。とくに給付金の支給要件や社会保険料の免除条件には細かいルールがあり、知らずに損をしている家庭は想像以上に多いのが現実です。

パパ・ママ育休プラスの仕組みと利用条件

夫婦で育休を取る最大のメリットのひとつが「パパ・ママ育休プラス」です。通常は子どもが1歳になるまでの育休期間が、夫婦で取得すると1歳2か月まで延長されます。2か月の延長は小さく見えるかもしれませんが、4月入園のタイミングに合わせるために「あと数週間あれば……」という家庭にとっては大きな違いになります。

利用条件は、夫婦ともに雇用保険の被保険者であること、配偶者が子の1歳の誕生日前日までに育児休業を取得していること、そして本人の育児休業開始日が子の1歳の誕生日より前であることの3点です。つまり、配偶者が専業主婦(夫)やフリーランスで雇用保険に加入していない場合は対象外になります。

申請の手順は、Step1として会社の人事部門にパパ・ママ育休プラスを利用したい旨を伝え、Step2として配偶者の育休取得証明書を添付して育児休業申出書を提出し、Step3としてハローワークが給付金の延長を承認する流れです。

見落としがちなのは「1人あたりの育休上限は1年」という点です。夫婦合計で1歳2か月まで延長できますが、父親・母親それぞれの取得可能期間が1年2か月に伸びるわけではありません。ここを誤解してスケジュールを組むと、復帰時期がずれて職場に迷惑をかけることがあります。

産後パパ育休(出生時育児休業)は通常の育休と何が違うか

2022年10月に始まった産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日間)取得できる制度です。通常の育児休業とは別枠で取得でき、2回に分割することも可能です。

通常の育休との違いは大きく3つあります。第一に、取得可能期間が「出生後8週間以内」に限定されること。第二に、労使協定があれば育休中でも一定の就業が認められること(通常の育休では原則不可)。第三に、申出期限が原則2週間前(通常育休は1か月前)と短いことです。

活用例としては、出産直後の2週間を産後パパ育休で取得し、その後母親が里帰りから戻るタイミングでもう2週間を取得する「分割パターン」が人気です。さらに、子が6か月になった頃に通常の育休を取得すれば、実質3回に分けて育児をサポートできます。

注意点として、産後パパ育休は最大28日間のため、賞与にかかる社会保険料の免除条件「連続して1か月超の育休取得」を満たさないケースがあります。賞与月に取得を予定している場合は、通常の育休と組み合わせて1か月を超えるようスケジューリングすることが重要です。

💡 押さえておきたいポイント
夫婦で育休を取る際は「産後パパ育休」「通常の育児休業」「パパ・ママ育休プラス」の3つの制度を正しく理解し、組み合わせることが重要です。制度ごとに申請期限や給付条件が異なるため、妊娠がわかった段階で夫婦一緒に確認しておきましょう。

夫婦で育休の給付金に関する注意点|手取り10割の条件を正しく理解する

育児休業給付金の支給額は「段階的に下がる」ことを知っておく

育児休業給付金は、育休開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%が支給されます。ここで言う賃金日額は、育休開始前6か月間の総支給額(残業代や通勤手当含む)を180で割った金額が基準になります。

厚生労働省の試算によれば、月収30万円の場合、最初の6か月間は月額約20.1万円、それ以降は月額約15万円が支給されます。夫婦ともに同じ月収であれば、最初の6か月は世帯で約40万円、後半は約30万円となり、育休前の世帯手取り(約48万円)から大きく減る時期があることを覚悟する必要があります。

実際の手続きでは、Step1として育休開始後に会社がハローワークへ支給申請を行い、Step2として原則2か月ごとに追加申請する流れです。初回の振込は育休開始から2〜3か月後になることが多いため、その間の生活費を事前に確保しておくことが不可欠です。

見落としがちなリスクとして、育休前に残業が少なかった月が算定期間に入ると、想定より給付額が低くなるケースがあります。育休開始前の働き方が給付額に直結するため、出産予定日から逆算して賃金日額を確認しておきましょう。

手取り10割の「出生後休業支援給付金」は夫婦の要件が厳しい

2025年4月から始まった出生後休業支援給付金は、既存の育児休業給付金(67%)に13%を上乗せし、合計80%の給付率を実現する制度です。社会保険料の免除分を加味すると「実質手取り10割」になる計算です。

しかし、この上乗せには厳格な条件があります。子の出生後8週間以内(母親は産後休業後8週間以内)に、夫婦ともに14日以上の育児休業を取得することが必須です。つまり、父親が「とりあえず1週間だけ」という取得では、母親側も含めて上乗せ対象外になります。

上乗せの対象期間は最大28日間に限られます。29日目以降は通常の67%(または50%)に戻るため、「ずっと手取り10割」ではないことに注意が必要です。

また、配偶者が専業主婦(夫)やフリーランスで雇用保険の被保険者でない場合は、もう一方が単独で14日以上の育休を取得すれば上乗せの対象になります。ただし、配偶者が雇用保険の被保険者であるにもかかわらず育休を取得しない場合は対象外です。この「片方だけ取得」の条件を知らずに、夫婦ともに会社員なのに片方しか育休を取らず上乗せを逃すケースが報告されています。

⚠️ 注意したいポイント
出生後休業支援給付金の上乗せ13%を受け取るには、夫婦ともに雇用保険被保険者の場合「両方が14日以上の育休を取得」が必要です。片方が13日以下だと、もう片方の上乗せも受けられなくなります。取得日数は必ず14日以上で計画しましょう。

社会保険料の免除条件に「月末在籍」のトラップがある

育休中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されますが、免除されるのは「育休開始日の属する月から、育休終了日の翌日の属する月の前月まで」です。つまり、月末時点で育休中であれば、その月の保険料が免除されます。

具体例を挙げると、4月15日から5月14日まで1か月間の育休を取った場合、月末を含む4月分は免除されますが、5月は14日で育休が終わるため免除されません。同じ1か月でも、4月1日から4月30日まで取得すれば4月分のみ免除、3月31日から4月30日まで取得すれば3月分と4月分の2か月分が免除されます。

この「月末在籍ルール」を知っているかどうかで、年間数万円〜十数万円の差が出ます。夫婦の育休スケジュールを組む際には、できるだけ月末をまたぐように設計するのが賢明です。

さらに、賞与にかかる社会保険料は「連続して1か月超の育休」でないと免除されません。産後パパ育休のみ(最大28日)では条件を満たさないため、賞与月を意識して通常の育休と連続させる工夫が必要です。

「未来の働き方調べ」夫婦の育休取得パターン別・手取り額比較

📊 データで見る|夫婦の育休パターン別・給付額シミュレーション(月収各30万円の場合)

取得パターン 世帯月額給付(最初の6か月) 社保免除込み実質収入
夫婦同時取得(各6か月) 約40.2万円 約48万円相当
妻のみ取得(12か月) 約50.1万円(夫の給与+妻の給付金) 約53万円相当
リレー方式(妻6か月→夫6か月) 約50.1万円(交互) 約53万円相当
夫:産後パパ育休のみ(4週間) 約50.1万円(大半は通常収入) 約53万円相当

※出生後休業支援給付金(上乗せ13%)は最大28日間のみ適用。上記は概算値であり、実際の支給額は賃金日額や取得日数により異なります。(未来の働き方調べ・2026年4月時点の制度に基づく)

夫婦で育休の取得タイミングに関する注意点|ずらし取得と同時取得の最適解

同時取得のメリットは「産後の危機」を二人で乗り越えられること

夫婦が同時に育休を取る最大のメリットは、産後の体力回復期に二人で育児と家事を分担できることです。産後の母体は全治6〜8週間のケガに相当すると言われており、この時期にワンオペ育児を強いられると、産後うつのリスクが高まります。

国立成育医療研究センターの調査では、産後うつの発症率は約10〜15%とされ、パートナーのサポートがある場合はリスクが約40%低減するというデータがあります。夫婦同時取得は、単なる「育児の効率化」ではなく、母親の健康を守るための予防策でもあるのです。

同時取得の具体的な活用法は、Step1として出産直後〜2週間は母体の回復を最優先し、父親が家事全般と上の子の世話を担当、Step2として3〜4週目から徐々に育児タスクを共有し、授乳以外のオムツ替え・沐浴・寝かしつけを父親がメインで行う、Step3として2か月目以降は二人のスケジュールを決めて「育児シフト制」に移行するという流れが効果的です。

ただし、同時取得の期間が長いほど世帯収入は減ります。経済面と育児面のバランスを考え、同時期間を1〜3か月に設定し、その後はリレー方式に切り替える家庭が増えています。

ずらし取得(リレー方式)は保育園入園までの「つなぎ」に有効

ずらし取得とは、母親の育休終了後に父親が育休を開始する「リレー方式」のことです。世帯収入の減少を最小限に抑えながら、育休期間を実質的に延長できるのが最大の利点です。

とくに効果を発揮するのが、4月の保育園入園に合わせるケースです。たとえば10月生まれの子どもの場合、母親が10月〜翌4月まで6か月間育休を取得し、その後父親が4月〜7月まで3か月間育休を取得すれば、7月の途中入園を目指すことができます。パパ・ママ育休プラスを使えば子どもが1歳2か月になるまで延長できるため、入園タイミングの選択肢が広がります。

リレー方式を成功させるには、引き継ぎが重要です。母親が復帰する1〜2週間前から父親と同時育休にし、日々のルーティン(授乳の時間帯、寝かしつけの方法、かかりつけ医の情報など)を共有しましょう。

注意したいのは、リレー方式では父親の育休開始時に母親がすでに復帰しているため、「出生後休業支援給付金の上乗せ」は出生後8週間以内に取得した分にしか適用されない点です。リレー方式を採用する場合でも、出産直後に父親が最低14日間の産後パパ育休を取得しておくと、上乗せ給付を確保できます。

「分割取得」を活用して育児のピークに合わせる方法

2022年の法改正で、育児休業は2回まで分割取得できるようになりました。産後パパ育休と合わせると、父親は最大4回に分けて休業できます。この柔軟性を活かせば、育児の「しんどい時期」にピンポイントで休みを確保できます。

育児の負担がとくに高まる時期は、生後0〜2か月(昼夜問わない授乳、母体回復期)、生後5〜6か月(離乳食開始、夜泣きの増加)、生後10〜12か月(つかまり立ち・後追い、保育園準備)の3つです。

分割取得の具体例としては、1回目に出産直後の産後パパ育休を2週間取得し、2回目に生後6か月で通常育休を1か月取得するパターンがあります。仕事の繁忙期を避けつつ、家族のニーズに合わせた柔軟なプランが立てられます。

ただし、分割取得のたびに職場への申出が必要であり、上司や同僚への説明コストが増える点は覚悟が必要です。事前に「出産後にこのような形で育休を取りたい」と全体スケジュールを共有しておくと、職場の理解を得やすくなります。

✅ 今日からできるアクション|育休スケジュールの立て方

  1. Step1: 出産予定日から逆算し、産後パパ育休・通常育休・パパママ育休プラスの取得可能期間をカレンダーに書き出す
  2. Step2: 夫婦の職場の繁忙期・賞与月を確認し、社会保険料免除の「月末ルール」を加味してスケジュールを調整する
  3. Step3: 保育園の入園時期(4月・途中入園)を確認し、育休終了日をそこに合わせる

夫婦で育休を取る際の職場対応の注意点|信頼を守る伝え方とタイミング

報告のタイミングは「安定期に入ったら」がベスト

職場への育休報告は、妊娠の安定期(16週以降)に入ってからが一般的です。法律上の申出期限は育休開始の1か月前(産後パパ育休は2週間前)ですが、ギリギリの報告では業務の引き継ぎが間に合わず、同僚に過度な負担をかけてしまいます。

理想的な流れは、Step1として妊娠16〜20週頃に直属の上司に妊娠と育休取得の意向を伝え、Step2として妊娠24〜28週頃に具体的な取得期間と業務引き継ぎ計画を提示し、Step3として育休開始の1か月前までに正式な申出書を人事部門に提出する形です。

とくに父親側は「まさか男性が育休を?」という反応を受ける場合もまだあります。上司に伝える際は、「チームへの影響を最小限にしたいので、引き継ぎ計画を一緒に考えさせてください」という姿勢を見せると、理解を得やすくなります。

注意すべきは、育休取得を理由とした不利益取扱い(降格、減給、配置転換など)は法律で禁止されているという点です。万が一そのような対応をされた場合は、会社の相談窓口や都道府県労働局の雇用環境・均等部門に相談しましょう。

業務の引き継ぎは「属人化の棚卸し」から始める

育休前の引き継ぎで最も重要なのは、自分しかわからない業務(属人化業務)を洗い出すことです。日常的にこなしている仕事ほど「誰かがやってくれるだろう」と思いがちですが、実際に引き継ぐと想像以上に手順が複雑だったということは珍しくありません。

引き継ぎの具体的な方法として、まず自分の業務を「定型業務」「プロジェクト業務」「突発対応」の3つに分類します。定型業務はマニュアル化して誰でもできる状態にし、プロジェクト業務は進捗状況と残タスクを明確にして後任者に引き渡し、突発対応は連絡先リストと過去の対応履歴を共有します。

引き継ぎ書は育休開始の2週間前までに完成させ、1週間の並走期間を設けるのが理想です。「引き継ぎ書を作って渡して終わり」では不十分で、実際に後任者が業務を行う様子を見ながら補足説明するプロセスが必要です。

意外と知られていないのですが、育休中の業務引き継ぎの質は、復帰後の評価にも影響します。「あの人は育休前にしっかり引き継いでくれた」という印象は、復帰後のキャリアを守る重要な布石になります。

同じ職場の夫婦が同時に育休を取る場合の配慮

夫婦が同じ会社に勤めている場合、二人同時に育休を取ることへの周囲の反応はさまざまです。法律上はまったく問題ありませんが、同じチームやプロジェクトに所属している場合は、業務への影響が大きくなるため、より丁寧な調整が求められます。

具体的には、二人の育休期間をずらして取得することで、チームへの影響を分散させる方法があります。また、上司には早めに二人分の取得意向を伝え、人員配置の調整に十分な時間を確保してもらうことが大切です。

人事部門からは「どちらか一人にしてほしい」と言われるケースもゼロではありませんが、これは明確な法律違反です。育児・介護休業法第10条では、育休申出を理由とする不利益取扱いが禁止されています。ただし、法律を盾にするだけでなく、「チームが困らない計画を一緒に作りたい」という協調的な姿勢で交渉するほうが、長期的には良好な関係を保てます。

職場の人間関係を損なわないコツは「感謝を言葉にすること」です。引き継ぎを受けてくれる同僚、調整してくれる上司への感謝を育休前・復帰後にきちんと伝えましょう。

⚠️ 失敗パターン|引き継ぎ不足で復帰後に信頼を失ったケース
「育休は権利だから」と引き継ぎを最低限で済ませた結果、育休中にトラブルが頻発し、復帰後に重要プロジェクトから外されたというケースがあります。権利の主張と職場への配慮は両立できます。育休前の引き継ぎの質が、復帰後のキャリアを左右すると心得ておきましょう。

夫婦で育休中の家計管理の注意点|収入減を乗り切る具体策

育休前に「3か月分の生活費」を現金で確保する理由

育児休業給付金は、育休開始から初回の振込まで2〜3か月かかるのが一般的です。夫婦同時に育休を取る場合、世帯収入がゼロになる期間に給付金も入らないという状況が生まれます。この空白期間を乗り切るために、最低でも3か月分の生活費を現金で用意しておく必要があります。

総務省の家計調査(2025年)によると、30代子育て世帯の月間消費支出は平均約32万円です。夫婦の育休が重なる場合、最低でも100万円程度の現金を手元に確保しておくのが安全ラインです。

具体的な準備として、Step1として出産予定日の6か月前から毎月の貯蓄額を増やし、Step2として育休中に不要な固定費(使っていないサブスクリプション、過剰な保険など)を見直し、Step3としてクレジットカードの引き落とし日や住宅ローンのボーナス払いの有無を確認して資金繰りを整理します。

見落としがちなのは、育休中も住民税は前年の所得に基づいて課税される点です。収入がないのに住民税の請求が来て「こんなはずでは……」と慌てる家庭は少なくありません。住民税の年額を事前に確認し、支払い用の資金を別途確保しておきましょう。

育休中に使える手当・助成金を取りこぼさない方法

育児休業給付金以外にも、育休中に受け取れるお金や免除される支出があります。すべてを確実に受け取るためには、申請が必要なものを漏れなくリストアップしておくことが重要です。

主なものとして、出産育児一時金(50万円・2023年4月〜)、社会保険料の免除(健康保険料+厚生年金保険料)、児童手当(0〜3歳は月額1万5千円)、自治体独自の出産祝い金やベビー用品支援があります。

とくに見落とされやすいのが、育休中の社会保険料免除の手続きです。これは会社が日本年金機構に申出を行う必要がありますが、会社の人事担当者が手続きを失念していたというケースも報告されています。育休開始後に「社会保険料免除の手続きは完了しましたか?」と人事に確認するひと手間を忘れないでください。

また、2026年4月現在、一部の自治体では夫婦同時育休を取得した家庭に対して独自の応援金を支給する動きが広がっています。お住まいの自治体のホームページを確認し、利用できる制度がないかチェックしましょう。

育休中の支出を「見える化」して夫婦の金銭感覚を合わせる

実は、育休中の家計トラブルの原因として意外に多いのが「夫婦間の金銭感覚の違い」です。育休前は互いの収入で自由に使えていたお金が、育休中は世帯として管理する必要が出てきます。ここで「自分は節約しているのに相手は……」という不満がたまると、育児のストレスと相まって関係悪化につながりかねません。

対策として、育休開始前に夫婦で家計会議を開き、月々の予算を「固定費」「変動費(食費・日用品)」「各自の自由費」に分けて合意しておくことをおすすめします。家計管理アプリ(マネーフォワードMEやZaimなど)を共有アカウントで使えば、支出の見える化が簡単にできます。

育休中は「赤ちゃん用品にいくらかかるか」の見積もりも重要です。ベビー服、おむつ、ミルク(必要な場合)、チャイルドシートなど、出産前後に必要な費用は平均で50〜70万円と言われています。新品にこだわらず、フリマアプリやレンタルサービスを活用すれば、半額程度に抑えることも可能です。

お金の話を「ケンカの種」にしないコツは、月に一度の振り返りを習慣にすることです。「今月は予算内に収まったね」「来月はここを調整しよう」と定期的に話し合うことで、二人の金銭感覚が自然と合っていきます。

☑️ 育休前の家計チェックリスト

  • ☐ 3か月分の生活費(約100万円)を現金で確保したか
  • ☐ 住民税の年額を確認し、支払い用資金を別途確保したか
  • ☐ 不要なサブスクリプション・過剰な保険を見直したか
  • ☐ クレジットカードのボーナス払い・住宅ローンのボーナス返済を確認したか
  • ☐ 育児用品の予算と購入リストを作成したか
  • ☐ 家計管理アプリで夫婦の支出を「見える化」する準備ができたか

育休中の夫婦の役割分担で押さえたい注意点|「お手伝い意識」が最大のリスク

父親の育休が「長期休暇」になるとパートナーシップが崩壊する

厳しい現実をお伝えすると、夫婦で育休を取ったにもかかわらず「二度と一緒に育休は取りたくない」と感じる母親が一定数います。その原因の多くは、父親が育休を「家にいる時間が増えた」程度にとらえ、育児・家事の主体者になれないケースです。

ある民間調査では、育休を取得した男性のうち約30%が「育休中に家事・育児に費やした時間は1日4時間未満」と回答しています。母親が授乳・オムツ替え・寝かしつけなどで1日10時間以上を育児に充てている横で、父親がスマートフォンを見ている――この構図が「育休離婚」という言葉を生んでいます。

解決策は、育休開始前に夫婦で「タスクの当事者」を明確に決めることです。たとえば「沐浴は父親」「離乳食の準備は母親」「夜間の対応は交替制」というように、責任の所在をはっきりさせましょう。

「手伝う」「サポートする」という意識ではなく、「自分が主体的にやる」というマインドに切り替えることが、夫婦で育休を成功させる最大のカギです。

育児タスクを「見える化」して不公平感をなくすテクニック

育児は「名もなき家事」の宝庫です。ミルクを作る、哺乳瓶を洗う、消毒する、おむつのストックを確認する、爪を切る、予防接種のスケジュールを管理する――これらは表面には見えにくいですが、毎日欠かせないタスクです。

タスクの見える化には、共有のToDoリストやホワイトボードが有効です。Step1として育児・家事のタスクをすべて書き出し(最低50項目以上になるはずです)、Step2として「毎日」「週1」「月1」の頻度で分類し、Step3として担当者を割り振って1週間試行し、Step4として週末に振り返りをして調整します。

ポイントは「完璧に半分ずつ」を目指さないことです。授乳など物理的に母親にしかできないタスクがあるため、その分を父親が家事や他の育児タスクで補う形がバランスよくなります。

注意点として、タスク分担を「管理する側」と「指示を待つ側」に分かれてしまうと、管理する側の精神的負担が増大します。いわゆる「見えない労働(メンタルロード)」です。父親も自ら気づいて動ける状態を目指しましょう。

夫婦の「育児方針のズレ」は育休中に表面化する

育休前は気にならなかった育児方針の違いが、24時間一緒に子育てする中で浮き彫りになることがあります。泣いたらすぐ抱っこするか、少し様子を見るか。離乳食は手作りにこだわるか、市販のベビーフードも使うか。テレビやスマートフォンを見せるか、見せないか。

これらは「正解」がない問題だからこそ、意見が割れるとストレスになります。お互いの育児観はそれぞれの育ってきた環境に根ざしているため、「それは間違っている」と頭ごなしに否定すると、相手の存在そのものを否定することになりかねません。

実践的な対処法は、育児方針で意見が割れたときに「どちらが正しいか」ではなく「子どもにとって何がベストか」を判断基準にすることです。科学的なエビデンスがある問題(予防接種、安全な睡眠環境など)は専門家の見解に従い、好みの問題(服装、遊び方など)は担当者に任せるという線引きが有効です。

育休中に夫婦で子育ての価値観をすり合わせておくことは、復帰後のスムーズな育児にもつながります。育休は「子育てチーム」としての基盤を作る期間だととらえましょう。

🌱 焦らなくて大丈夫
育休中に夫婦でぶつかることは、決して悪いことではありません。むしろ、24時間一緒に育児をするからこそ、お互いの価値観を深く理解できるチャンスです。「完璧な育休」を目指す必要はありません。困ったら地域の子育て支援センターや保健師に気軽に相談してください。二人で試行錯誤すること自体が、親として成長するプロセスです。

夫婦で育休からの復帰で見落としがちな注意点|キャリアへの影響を最小化する

復帰後のポジションは「育休前」に確認しておく

育児・介護休業法では、育休後は原則として「原職復帰」が努力義務とされています。しかし「努力義務」である以上、必ず同じポジションに戻れる保証はありません。組織変更やプロジェクトの終了によって、復帰後に別の部署に配属されるケースもあります。

事前対策として、育休取得の申出時に上司や人事に「復帰後のポジションはどうなりますか?」と確認しておくことが重要です。口頭だけでなく、メールなどの記録が残る形で確認しておくと安心です。

とくに夫婦同時に育休を取る場合、復帰のタイミングが近いと保育園の送迎や急な呼び出しへの対応が課題になります。復帰前に「時短勤務」「フレックスタイム」「在宅勤務」などの制度を確認し、どちらがどの制度を使うかを決めておきましょう。

育休からの復帰直後は、業務のキャッチアップに時間がかかるものです。自分から「復帰後1か月間のキャッチアップ計画」を上司に提案すると、主体的な姿勢が評価され、スムーズに戦力として戻りやすくなります。

育休中のスキルの「ブランク」は意識的に埋めておく

半年〜1年の育休は、業界の動きや社内のシステム変更に追いつけなくなるリスクがあります。とくにIT業界や金融業界など変化の速い業界では、復帰後に「浦島太郎状態」になることも珍しくありません。

育休中にできるスキルメンテナンスとして、業界のニュースレターやポッドキャストを通勤時間の代わりに育児の合間にチェックする、オンライン講座を1日15〜30分だけ受講する、社内の情報共有ツール(SlackやTeamsなど)を定期的に確認する(可能な場合)といった方法があります。

ただし、育休中のスキルアップに力を入れすぎて育児がおろそかになるのは本末転倒です。育休の本分は育児であり、キャリアのメンテナンスは「余力があれば」の範囲で行いましょう。

意外と知られていないのですが、育休中の経験そのものがキャリアに活きる場面もあります。マルチタスク能力、限られた時間での意思決定力、相手の立場に立つコミュニケーション力――これらは育児を通じて確実に磨かれるスキルです。復帰後の面談でこうした成長を言語化できると、育休をプラスのキャリア経験として位置づけることができます。

復帰後の「時短勤務」と「フルタイム」の選択で後悔しないために

育児・介護休業法では、3歳未満の子どもを養育する労働者は短時間勤務制度(時短勤務)を利用できます。一般的には1日6時間勤務で、給与は時間に応じて減額されます。

時短勤務の最大のメリットは、保育園の送迎や急な発熱への対応がしやすくなることです。一方、デメリットとして給与の減少(フルタイムの75%程度)、昇進・昇格のペースが遅くなる可能性、「時短だから」と重要なプロジェクトから外されるリスクがあります。

時短勤務のメリット 時短勤務のデメリット
・保育園の送迎に余裕が持てる
・子どもの急な体調不良に対応しやすい
・育児と仕事の両立の負荷を軽減できる
・給与がフルタイムの約75%に減少する
・昇進・昇格のペースが遅くなる可能性がある
・重要プロジェクトから外されるリスクがある

夫婦で育休を取った場合の強みは、復帰後の育児分担がすでにできていることです。たとえば「朝の送りは父親、夕方のお迎えは母親」という分担が確立していれば、どちらか一方だけが時短を使う必要がなくなります。フルタイム+フレックスという組み合わせで、二人とも時短を使わずにやりくりしている共働き夫婦も増えています。

大切なのは「世間の正解」ではなく「自分たちの家族に合った働き方」を選ぶことです。時短もフルタイムも、あくまで手段にすぎません。子どもの成長に合わせて柔軟に見直していきましょう。

夫婦で育休の注意点を押さえれば「二人で育てる」が当たり前になる

夫婦で育休を取ることは、もはや特別なことではなくなりつつあります。制度は整い、給付金も拡充され、社会の理解も着実に進んでいます。しかし、制度があっても「正しく使う」知識がなければ、給付金の取りこぼしや職場でのトラブル、家計の破綻といったリスクを避けられません。

この記事では、夫婦で育休を取る際の注意点を7つの観点から解説してきました。最後に、とくに重要なポイントを振り返ります。

  • 給付金で損しないために:出生後休業支援給付金の上乗せ(13%)を受けるには、夫婦ともに14日以上の育休取得が必須。片方が13日以下だと、もう片方の上乗せも失われる
  • 社会保険料の免除:「月末在籍ルール」を意識してスケジュールを組む。賞与月は連続1か月超の育休で保険料免除を確保する
  • 取得タイミング:同時取得・リレー方式・分割取得を組み合わせ、育児のピークと保育園入園に合わせて設計する
  • 職場対応:安定期に入ったら早めに報告し、業務引き継ぎは「属人化の棚卸し」から丁寧に行う
  • 家計管理:給付金の初回振込まで2〜3か月かかるため、3か月分の生活費(約100万円)を現金で確保する
  • 役割分担:「お手伝い意識」を捨て、タスクの見える化と当事者意識で不公平感をなくす
  • 復帰準備:復帰後のポジション確認、スキルのメンテナンス、時短勤務の判断を育休中に済ませておく

最初の一歩として、今日できることがあります。それは、パートナーと「育休をどう取るか」について具体的に話し合うことです。この記事を二人で読みながら、出産予定日から逆算した育休スケジュールの下書きを作ってみてください。制度を正しく理解し、計画的に準備すれば、「夫婦で育休を取ってよかった」と心から思える日が来るはずです。二人で育てる時代は、もう始まっています。

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この記事を書いた人

働き方やキャリアの悩み、暮らしとお金の不安を、言葉で整理して伝えています。理想だけでは語れない現実の声を拾いながら、選択肢や視点をやさしく紹介することを心がけています。読んだ人が「自分のことかも」と感じて、少し前を向けるきっかけになればうれしいです。

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