「今年の昇給、思ったより少ないな……」そんなモヤモヤを感じたこと、ありませんか。給与明細を見て「上がったのか、上がっていないのか、よくわからない」という方も少なくありません。実は、昇給率を正しく計算するだけで、自分の給与が世間と比べてどの位置にあるのかがはっきり見えてきます。
この記事では、昇給率の計算方法を基本公式から丁寧に解説し、2025年の最新データと比較しながら「あなたの昇給率は適正なのか」を判断する方法をお伝えします。さらに、昇給率が低いと感じたときの具体的な対処法——社内交渉・転職・副業まで、キャリアコーチの視点でステップごとにご紹介します。
この記事でわかること:
- 昇給率の計算式と正しい使い方
- 2025年の平均昇給率5.26%と企業規模別・業界別データ
- 昇給率が低い原因の切り分け方と、今日からできる行動戦略
- 副業やフリーランスの視点で「実質昇給率」を上げる方法
昇給率の計算方法はたった1つの式|30秒で自分の立ち位置がわかる
昇給率計算の基本公式と具体的な当てはめ方
昇給率の計算はシンプルです。結論から言えば、昇給率(%)= 昇給額 ÷ 昇給前の給与 × 100。これだけです。
たとえば、昇給前の基本給が30万円で、昇給後に30万9,000円になった場合は「9,000円 ÷ 300,000円 × 100 = 3.0%」となります。厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」でも、この計算式が基準として使われています。
計算の手順は3ステップです。Step1:昇給前の基本給を確認する。Step2:昇給後の基本給を確認する。Step3:差額を昇給前の金額で割り、100を掛ける。電卓ひとつで30秒あれば終わります。
注意点として、この計算で使う「給与」は原則として基本給です。残業代や各種手当を含めた総支給額を使うと、残業時間の変動で昇給率が歪みます。まずは基本給同士で比較するのが正確です。
月給・年収・手取り——どの数字を使うのが正解か
結論としては、月額基本給ベースで計算するのが標準です。理由は、厚生労働省の統計も企業の人事評価も「月額基本給の変動率」を昇給率として定義しているからです。
ただし、自分のキャリア判断に使う場合は「年収ベース」の計算も有効です。たとえば基本給の昇給率が2%でも、賞与が増えて年収ベースでは5%上がっているケースがあります。逆に、基本給は上がったのに賞与がカットされて年収が下がることもあります。
具体的には、年収ベースの昇給率=(今年の年収 − 昨年の年収)÷ 昨年の年収 × 100で算出します。手取りベースは税率や社会保険料率の変更で変動するため、昇給率の計算には向きません。
デメリットとして、年収ベースは賞与や業績連動手当の影響を受けるため、「会社が自分をどう評価しているか」を知りたい場合は基本給ベースのほうが正確です。目的によって使い分けましょう。
ボーナス・手当込みで計算すると数字が変わる理由
結論として、ボーナスや手当を含めると昇給率は基本給ベースより大きくブレます。これは、ボーナスが業績連動で毎年変動し、手当は生活状況(扶養人数・通勤距離)によって増減するからです。
たとえば基本給25万円→25万5,000円(昇給率2%)の人でも、賞与が前年比で20万円増えると、年収ベースの昇給率は「(5,000円×12ヶ月+200,000円)÷前年年収」でかなり高くなります。しかし翌年に賞与が元に戻れば、年収ベースの昇給率はマイナスになりかねません。
したがって、昇給率計算では「基本給」「年収」「手取り」の3つを分けて把握することをおすすめします。基本給は会社の評価、年収は総合的な稼ぎ、手取りは生活実感。3つの指標を並べることで、自分の給与の全体像が見えてきます。
注意したいのは、基本給が上がらないまま手当だけ増えているパターンです。これは一見収入が増えていますが、退職金やボーナスの算定基礎は基本給であることが多く、長期的には不利になります。
昇給率の計算は「昇給額 ÷ 昇給前の基本給 × 100」が基本。月額基本給・年収・手取りの3つを分けて把握すると、会社の評価と生活実感のギャップが見えてきます。
2025年の平均昇給率は5.26%|企業規模・業界別データ一覧
大企業と中小企業で昇給率に0.63ポイントの差がある現実
2025年の全企業平均の昇給額は16,399円、昇給率は5.26%です。これは過去30年で最も高い水準となっています。しかし、企業規模によって実態は大きく異なります。
大企業(従業員1,000人以上)の平均昇給額は16,932円で昇給率5.33%。一方、中小企業の平均昇給額は12,453円で昇給率4.70%です。その差は0.63ポイント、金額にして約4,500円です。
この差が生まれる背景には、大企業のほうが賃金テーブルの上限が高く、定期昇給+ベースアップの「二階建て」が機能しやすいことがあります。中小企業では定期昇給制度そのものがない会社も約2割存在します。
ただし、中小企業が一律に不利というわけではありません。IT・DX関連の中小企業では人材獲得競争のために7〜8%の昇給率を出すケースもあります。自社の昇給率を計算して業界平均と比較することが大切です。
| 区分 | 平均昇給額 | 昇給率 |
|---|---|---|
| 全企業平均 | 16,399円 | 5.26% |
| 大企業(1,000人以上) | 16,932円 | 5.33% |
| 中小企業 | 12,453円 | 4.70% |
出典:厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」をもとに作成
業界別に見る昇給率ランキング|伸びている業界はどこか
昇給率は業界によって2倍以上の開きがあります。2025年のデータを見ると、情報通信業や建設業が高く、飲食サービス業や小売業はやや低めです。
背景として、情報通信業はエンジニア不足による人材獲得競争が続いており、企業が賃金を上げないと人が流出するという構造があります。建設業も2024年問題(時間外労働の上限規制適用)を受けて処遇改善が進んでいます。
一方、飲食サービス業は原材料費や光熱費の上昇で利益が圧迫されており、昇給に回す余力が少ない企業も多いのが実情です。ただし、大手チェーンを中心にアルバイト・パートの時給を引き上げる動きは活発で、正社員の昇給も徐々に追いつき始めています。
自分の業界の昇給率を知りたい場合は、厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」の産業別データを確認するのが最も正確です。転職を検討するなら、現在の業界と志望業界の昇給率を比較してみてください。
年齢別の昇給額推移|30代・40代のピークはいつか
結論として、昇給額のピークは一般的に30代前半〜半ばにあり、40代後半以降は鈍化する傾向があります。
dodaの調査によると、20代後半から30代前半にかけては年間1万5,000〜2万円前後の昇給がある一方、40代後半〜50代では5,000〜8,000円程度にとどまるケースが多いです。これは日本企業の多くが「職能資格制度」を採用しており、等級が上がるほど次の昇格までの期間が長くなるためです。
ただし、これはあくまで平均です。管理職への昇進で年収が100万円以上ジャンプする人もいれば、30代で昇給がほぼ止まる人もいます。重要なのは「自分の昇給カーブがどのフェーズにあるか」を把握すること。過去3年間の昇給率を計算し、上昇・横ばい・下降のどのトレンドにあるかを確認しましょう。
デメリットとして、年齢別の平均値にとらわれすぎると判断を誤ります。たとえば「40代だから昇給は頭打ち」と決めつけてしまうと、スキルアップや転職で年収を上げるチャンスを見逃しかねません。
昇給率計算で「低い」と感じたらチェックすべき5つの原因
評価制度と昇給テーブルのズレを見抜く方法
自分の昇給率が平均より低い場合、最初に確認すべきは会社の評価制度と昇給テーブルの仕組みです。「頑張っているのに昇給しない」と感じるケースの多くは、努力の方向と評価基準がズレていることが原因です。
たとえば、成果主義の会社でプロセス(残業時間の長さ・勤続年数)をアピールしても評価には反映されません。逆に、年功序列の会社で目に見える成果を出しても、等級が上がらなければ昇給テーブル上の金額は変わりません。
具体的には、就業規則や賃金規程を確認し、昇給がどのタイミング・どの基準で行われるのかを把握しましょう。Step1:人事部門に賃金テーブルの開示を求める。Step2:自分の現在の等級・号俸を確認する。Step3:次の昇格に必要な条件(在籍年数・評価点数)を把握する。
注意点として、賃金テーブルが非公開の会社も存在します。その場合は上司との面談で「昇給の仕組みを教えてほしい」と率直に聞くのが有効です。聞くこと自体はマイナス評価にはなりません。
業界全体が低成長なのか自社だけの問題なのか切り分ける
昇給率が低い原因が「業界の構造的な問題」なのか「自社固有の問題」なのかで、取るべき行動はまったく変わります。
切り分ける方法はシンプルです。厚生労働省の産業別データで自分の業界の平均昇給率を調べ、自分の昇給率と比較します。業界平均が3%で自分も3%なら業界の問題、業界平均が5%で自分が2%なら自社または自分の評価の問題です。
業界全体が低成長の場合、社内で頑張っても昇給の天井が低い可能性があります。その場合は、成長業界への転職か、副業で収入源を増やす選択肢が現実的です。自社だけが低い場合は、評価面談での交渉や社内異動で改善できる余地があります。
見落としがちなのは「業界は成長しているが、自社のビジネスモデルが古い」パターンです。たとえばIT業界でも、受託開発中心の企業とSaaS企業では利益構造が異なり、昇給率にも差が出ます。
勤続年数と昇給率の関係|長く居れば上がるは本当か
「長く勤めれば給料は上がる」——これは半分正しく、半分間違いです。年功序列型の賃金体系を持つ企業では、勤続年数に応じた定期昇給があるのは事実です。しかし、その上昇幅は年々小さくなる傾向にあります。
実は、意外と知られていないのですが、勤続10年を超えると昇給率が急激に低下する企業が増えているという点です。背景には「ジョブ型雇用」への移行があります。職務内容が同じであれば賃金も同じという考え方が広がり、「在籍しているだけで上がる」仕組みを見直す企業が2020年代に入って加速しています。
具体的には、過去3〜5年間の自分の昇給率をExcelやスプレッドシートに記録し、トレンドを確認しましょう。毎年の昇給率が縮小しているなら、今の会社で待っているだけでは給与の天井が近い可能性があります。
ただし、勤続年数が長いこと自体にメリットもあります。退職金の算定、有給休暇の付与日数、社内の信頼残高など、金銭以外の価値も考慮して判断してください。
「評価が高いのに昇給しない」場合、原因は評価制度ではなく昇給テーブルの上限にあることがあります。等級の上限に達すると、昇格しない限りそれ以上は上がりません。自分の等級が上限に近づいていないか、賃金規程で確認しましょう。
役職なし・等級据え置きが昇給を止めるメカニズム
日本企業の多くは「等級制度」と連動した昇給テーブルを持っています。結論として、等級が上がらなければ昇給額は年々小さくなり、最終的にゼロに近づきます。
仕組みはこうです。たとえば等級3の給与レンジが25万〜30万円の場合、毎年の定期昇給で30万円に近づくと、それ以上の昇給には等級4への昇格が必要になります。昇格には上位の役職ポストが空くか、一定の評価を複数年連続で得る必要があるため、タイミングに左右されます。
特に問題になるのは「管理職のポストが詰まっている」ケースです。団塊ジュニア世代が管理職を占めている企業では、30代後半〜40代前半の昇格が滞りやすくなります。
対策としては、管理職以外の「専門職」「エキスパート」といった等級ルートがあるか確認すること。なければ、社内にキャリアパスの選択肢が少ないということであり、転職を含めた検討が必要です。
昇給率を上げるために会社員が今日からできる行動戦略
評価面談で昇給の根拠を示す交渉テクニック
昇給率を上げたいなら、評価面談を「報告の場」ではなく「交渉の場」として活用しましょう。これが結論です。
多くの会社員は評価面談で「今期はこんな仕事をしました」と報告するだけで終わっています。しかし、昇給を勝ち取る人は「自分の貢献が会社にいくらの利益をもたらしたか」を数字で示しています。
具体的なステップです。Step1:過去半年〜1年の業務成果を数値化する(売上貢献額、コスト削減額、業務効率化の時間など)。Step2:業界の平均昇給率と自分の昇給率を比較したデータを準備する。Step3:「業界平均は5.26%ですが、私の貢献度を考慮いただくと〇%が妥当だと考えています」と具体的に伝える。
注意すべきは、交渉が「脅し」にならないようにすること。「上げてくれないなら辞めます」は逆効果です。あくまで「自分の市場価値と貢献度に見合った評価をいただきたい」というスタンスで臨みましょう。
- Step1: 過去1年の業務成果を数値化してリストアップする
- Step2: 業界平均の昇給率を調べ、自分の昇給率と比較する
- Step3: 「希望する昇給率」と「その根拠」をA4一枚にまとめる
スキルの棚卸しで「代替不可能な人材」になるステップ
昇給率を上げるもっとも本質的な方法は、会社にとって「この人がいないと困る」存在になることです。
そのためには、まず自分のスキルを棚卸しします。「業務スキル」「対人スキル」「専門知識」の3カテゴリに分けて書き出し、それぞれに「社内で自分しかできないか」「外部から調達可能か」の2軸で評価してみてください。
たとえば「Excelが使える」は多くの人が持つスキルですが、「VBAで業務自動化ツールを作れる」は希少性が上がります。さらに「業界特有の業務知識+自動化スキル」の掛け合わせがあれば、代替が難しくなります。
デメリットとして、「代替不可能」を目指しすぎると属人化のリスクがあります。会社全体の効率が下がると評価にも響くため、ナレッジ共有の姿勢も見せながらスキルを磨くバランスが重要です。
社内異動・プロジェクト参加で評価ポイントを積む方法
転職しなくても、社内異動や新規プロジェクトへの参加で昇給率を改善できるケースは多いです。
理由は2つあります。第一に、異動先の部署では「新しい風を入れたい」というニーズがあるため、貢献が目立ちやすく評価されやすいこと。第二に、複数部署の経験がある人材は昇格候補になりやすいこと。人事部門は「ゼネラリスト」を管理職候補として評価する傾向があります。
具体的には、社内公募制度がある場合は積極的にエントリーしましょう。制度がなくても、部門横断プロジェクトや新規事業の立ち上げに手を挙げることで、同じ効果が得られます。
リスクとして、異動後に成果を出せないと「元の部署でも使えなかった人」というレッテルを貼られる可能性があります。異動前に必要なスキルを確認し、足りない部分は事前に学習しておくことが大切です。
昇給率が低い会社に見切りをつける判断基準と転職のタイミング
3年分の昇給率計算で将来年収をシミュレーションする方法
「この会社にいて大丈夫か?」を判断するもっとも客観的な方法は、過去3年分の昇給率から将来年収をシミュレーションすることです。
やり方はシンプルです。Step1:過去3年間の昇給率を計算する。Step2:3年間の平均昇給率を算出する。Step3:その平均昇給率が今後も続くと仮定して、5年後・10年後の年収を計算する。たとえば現在年収400万円で平均昇給率が1.5%なら、5年後は約431万円、10年後は約465万円です。
一方、平均昇給率が5%なら、5年後は約511万円、10年後は約652万円になります。この差は歴然です。昇給率のわずかな違いが、10年で200万円近い年収差を生むのです。
注意点として、昇給率は一定ではなく、昇格や業績によって変動します。あくまでシミュレーションですが、「今のペースで進んだらどうなるか」を数字で見ることで、冷静な判断ができるようになります。
転職で年収アップする人・しない人の決定的な違い
転職で年収が上がる人には共通点があります。結論として、「市場価値を把握してから動いている」かどうかが分かれ目です。
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」によると、転職者のうち年収が増加した人の割合は約38%、変わらなかった人が約26%、減少した人が約33%です。つまり、転職すれば必ず年収が上がるわけではありません。
年収アップする人の特徴は3つ。①現職での成果を定量的に語れる。②転職先の業界・職種の相場を調べている。③「年収を上げたい」だけでなく「この仕事がしたい」という軸がある。逆に、「今の会社が嫌だから」という理由だけで転職すると、条件を十分に吟味できず年収が下がりやすくなります。
デメリットとして、転職直後は試用期間でボーナスが満額出ないことが多いため、初年度の年収は下がる可能性があります。2年目以降の年収見込みで比較することが重要です。
| 転職で年収が上がる人 | 転職で年収が下がる人 |
|---|---|
|
・成果を数字で説明できる ・業界の給与相場を調査済み ・転職の軸が明確(やりたいこと+条件) |
・「今の会社が嫌」が主な動機 ・相場を知らず提示額をそのまま受諾 ・初年度ボーナス減を想定していない |
転職活動の前にやっておくべき市場価値の確認法
転職を考え始めたら、まず「自分の市場価値」を客観的に把握することが先決です。
方法は3つあります。Step1:転職サイトのスカウト機能に登録し、提示される年収レンジを確認する。Step2:転職エージェントとの面談で「自分のスキルセットだとどの程度の年収が見込めるか」を率直に聞く。Step3:同業界・同職種の求人票を20件ほど見て、年収の中央値を把握する。
この3つを実行するだけで、「自分の昇給率が低いのか、市場全体がそうなのか」がかなり明確になります。市場価値が現在の年収より高いとわかれば、転職の成功確率は格段に上がります。
注意したいのは、スカウトの年収提示はあくまで「可能性」であり、確約ではないこと。実際の選考では、スキルの裏付けや面接の印象で上下するため、提示額を鵜呑みにしないことが大切です。
副業・複業で「実質昇給率」を自分で引き上げる発想
会社の昇給に頼らず月3万円の収入を作る具体的な方法
昇給率が低いなら、収入の上がり幅を自分でコントロールするという発想に切り替えましょう。副業で月3万円を得られれば、年間36万円の収入増。年収400万円の人なら実質9%の「昇給」と同等です。
月3万円を達成しやすい副業としては、Webライティング(1文字1〜3円×月2万字程度)、クラウドソーシングでのデータ入力・事務代行(時給1,000〜1,500円×月20〜30時間)、ココナラなどでのスキル販売があります。
具体的なステップです。Step1:自分の本業スキルを棚卸しする。Step2:そのスキルを活かせる副業プラットフォームに登録する。Step3:最初の1件は相場より安くても受注し、実績を作る。Step4:実績を元に単価を上げていく。
デメリットとして、副業に時間を取られすぎると本業のパフォーマンスが下がり、本末転倒になります。「週5〜10時間」を上限の目安にし、本業の評価を落とさない範囲で取り組みましょう。
副業収入を含めた実質昇給率の計算式と考え方
副業をしている場合の「実質昇給率」は、本業+副業のトータル収入で考えると視野が広がります。
計算式はこうです。実質昇給率 =(今年の総収入 − 昨年の総収入)÷ 昨年の総収入 × 100。たとえば昨年の年収が400万円(本業のみ)で、今年は本業408万円+副業36万円=444万円なら、実質昇給率は11%になります。
この考え方のメリットは、「会社の昇給率が低くても、自分の努力で総収入の成長率をコントロールできる」と実感できることです。精神的にも「会社に年収を握られている」という受け身の姿勢から脱却できます。
ただし、副業収入には確定申告が必要です。年間20万円を超える副業所得がある場合は必ず申告してください。また、住民税の納付方法を「普通徴収(自分で納付)」に切り替えないと、副業が会社に発覚する原因になります。
副業が本業にバレてトラブルになるケースと防ぎ方
副業で収入を増やす戦略には、「会社にバレるリスク」がつきまといます。2024年時点で副業を認めている企業は約55%(リクルート調べ)で、まだ半数近くの企業は副業禁止または条件付きです。
バレるパターンで最も多いのは住民税の増加です。会社は従業員の住民税を天引き(特別徴収)しますが、副業で所得が増えると住民税額が上がり、「この人の給与に対して住民税が高い」と経理担当者が気づくのです。
防止策としては、確定申告時に住民税の徴収方法を「普通徴収」にチェックすること。これで副業分の住民税は自分で納付する形になり、会社には通知されません。ただし、自治体によっては普通徴収を選んでも特別徴収にまとめられるケースがあるため、事前に居住地の自治体に確認しましょう。
それ以前に、就業規則で副業が禁止されている場合は、規則違反で懲戒処分の対象になるリスクがあります。まずは就業規則を確認し、副業禁止なら人事部門に相談するのが安全です。
副業がバレる最大の原因は住民税の増加です。確定申告時に「普通徴収」を選択し、副業分の住民税を自分で納付しましょう。ただし就業規則で副業禁止の場合は、まず社内ルールの確認が最優先です。
主婦・ママ・フリーランスが知っておきたい昇給率の考え方
パート・時短勤務でも昇給率を上げられる交渉のコツ
パートや時短勤務だからといって、昇給を諦める必要はありません。結論として、「成果の見える化」と「タイミング」が交渉の鍵です。
2021年に改正されたパートタイム・有期雇用労働法により、正社員との不合理な待遇差は禁止されています。つまり、同じ仕事をしているなら同等の昇給を求める法的な根拠があるのです。
具体的な交渉ステップです。Step1:自分の業務範囲と成果を書き出す。Step2:同じ業務を担当している正社員の昇給率を可能な範囲で把握する。Step3:契約更新のタイミング(多くの場合、年度末か半期末)に合わせて「時給〇円アップ」の希望を伝える。
注意点として、パートの昇給は制度化されていない企業が多いため、「言わなければ上がらない」のが現実です。遠慮して黙っていると、何年もの同じ時給が続きます。言いにくければ「相談」という形で切り出しましょう。
フリーランスが単価を年5%上げるための実践ステップ
フリーランスには「昇給」という概念がない代わりに、自分で単価を決められるという最大の武器があります。年5%の単価アップを目標にすれば、会社員の平均昇給率と同等以上の収入成長が可能です。
実践ステップは3つ。Step1:既存クライアントとの契約更新時に、実績を示して5〜10%の単価交渉を行う。Step2:新規クライアントの獲得時に、前回より高い単価を提示する。Step3:高単価の仕事を増やし、低単価の仕事を徐々に手放す。
根拠として、フリーランス協会の調査では、年収400万円以上のフリーランスの約6割が「毎年または隔年で単価を見直している」と回答しています。逆に、単価を見直さないフリーランスは、物価上昇分だけ実質的に収入が目減りしていきます。
リスクとして、単価を上げすぎるとクライアントが離れる可能性があります。値上げ幅は1回あたり5〜10%に抑え、値上げの理由(スキルアップ、市場相場の変動、実績の蓄積)を明確に伝えることが重要です。
扶養内で働く場合の昇給と年収の壁の関係
扶養内で働くパート・ママにとって、昇給は嬉しい反面、「年収の壁」を超えてしまうリスクと隣り合わせです。
主な年収の壁は、103万円(所得税の課税開始)、106万円(従業員51人以上の企業で社会保険加入)、130万円(社会保険の扶養から外れる)、150万円(配偶者特別控除が段階的に減少)です。2025年度の税制改正で103万円の壁は123万円に引き上げられましたが、社会保険の壁は依然として残っています。
時給が上がった場合のシミュレーションをしておきましょう。たとえば時給1,100円→1,150円に昇給し、月80時間働いている場合、年収は105.6万円→110.4万円に。106万円の壁を超えるため、社会保険料(年間約15万円)が発生し、手取りが逆に減る可能性があります。
対策は2つ。①昇給に合わせて勤務時間を調整し、壁を超えないようにする。②あえて壁を超えて、将来の年金額アップなど長期的なメリットを取る。どちらが得かは家庭の状況によるため、配偶者と相談して決めましょう。
「昇給したいけど壁が気になる」「副業を始めたいけど扶養から外れたくない」——こうした悩みは、あなただけのものではありません。大切なのは「今の自分にとって最適な働き方」を選ぶことです。正解は一つではないので、家計全体のシミュレーションをしたうえで、自分のペースで判断していきましょう。
昇給率計算を味方につけて、自分のキャリアと収入を主体的にデザインしよう
この記事では、昇給率の計算方法から、平均データとの比較、昇給率が低い場合の原因分析と具体的な対処法まで、幅広くお伝えしてきました。昇給率は単なる数字ではなく、あなたのキャリアの健康診断書のようなものです。定期的に計算し、自分の立ち位置を確認することが、収入アップへの第一歩になります。
最後に、この記事の要点を整理します。
- 昇給率の計算式は「昇給額 ÷ 昇給前の基本給 × 100」。月額基本給ベースが基本
- 2025年の平均昇給率は5.26%。大企業5.33%、中小企業4.70%と規模で差がある
- 昇給率が低い原因は「評価制度とのズレ」「業界構造」「等級の天井」など複数あり、原因の切り分けが重要
- 評価面談では成果を数字で示すことが昇給交渉の基本。業界平均データを持参すると説得力が増す
- 転職で年収アップするには、市場価値の把握が先。スカウト・エージェント・求人票の3点で確認
- 副業で月3万円稼げば、年収400万円の人なら実質昇給率9%に相当する
- パート・フリーランスも単価交渉と年収の壁を意識すれば、収入を主体的に伸ばせる
「昇給率を計算してみたら、思ったより低かった」——そう感じた方も、落ち込む必要はありません。現状を正確に把握できたこと自体が、大きな前進です。まずは今日、過去3年分の給与明細を引っ張り出して、自分の昇給率を計算してみてください。数字が見えれば、次に何をすべきかが自然と見えてきます。あなたのキャリアは、あなた自身の手でデザインできるものです。
- ☐ 過去3年分の給与明細を用意する
- ☐ 昇給率を「基本給ベース」と「年収ベース」で計算する
- ☐ 業界平均(5.26%)と自分の昇給率を比較する
- ☐ 低い場合は原因を切り分ける(評価制度・業界・等級)
- ☐ 次の評価面談に向けて成果の数値化を始める